植松被告から朝日新聞記者に届いた手紙
室内に入ってきたその男は、拍子抜けするほど「普通の子」だった。
「十九の御霊よ安らかに」やまゆり園殺傷事件で追悼集会
特集:相模原の殺傷事件
小柄な体をくの字に折り曲げて頭を下げると、緊張した様子ながら、はっきりとした声で言った。
「このたびは申し訳ありませんでした」
相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で昨年7月26日、入所者19人が殺害され、職員3人を含む27人が負傷した。この事件で命を落とした女性(当時60)の弟(58)は今年6月中旬、横浜拘置支所(横浜市港南区)の面会室で、施設の元職員、植松聖(さとし)被告(27)と向かい合っていた。
沈黙が続くなか、切り出した。
「本当に謝罪をしたいなら何か言葉が出てくるはずでしょ。ごめんなさいと言って終わりだったら、そんなの謝罪じゃないよ」
押し黙る植松被告に続けた。
「姉は薬をのんで静かに寝ていたんだよ。職員さんにもほとんど迷惑をかけていないのに、それでも姉が憎かったの?」
「いえ。憎くありません」
「それでも殺したんだね」
質問を重ねても、植松被告は低くうめくだけだった。
2月に殺人罪などで起訴された…