茶処くらやの恋小町だんご=愛知県犬山市
愛知県犬山市にある国宝犬山城の城下町が、若者に人気だ。どちらかといえば年配の人が多く訪れるイメージの観光地だが、この1年ほどで様子ががらりと変わったという。その原動力の一つが、「インスタ」だ。
暑い日曜日。犬山城下町は若者でにぎわっていた。女性たちは色鮮やかな団子を持ちながら、自分の姿をスマートフォンで撮影していた。市観光協会の後藤真司さん(38)は「10年前には考えられない光景」と驚く。犬山城下町は江戸時代からの町並みが残ることで知られ、年配の観光客が多かったという。
風景を一変させたのは、写真投稿アプリの「インスタグラム(インスタ)」。スマホなどで撮影した写真を多くの人に見てもらえることで若者に人気だ。犬山城の1~7月の入場者数は昨年の同時期に比べ1万5千人ほど多い約33万人。インスタで犬山城下町を検索すると、5万件を超える写真が投稿されている。
市観光協会によると、若者の姿が目立つようになったのは昨夏ごろから。きっかけの一つが「茶処くらや」の店長尾辻大志さん(39)が昨年7月に考案した「恋小町だんご」だ。
イチゴ味や夏ミカン味などカラフルなあんを盛った団子で、発売当初は1日10本程度しか売れなかった。ところが、インスタなどで「かわいい」と評判が広まると、行列ができるようになった。今では週末には1日約千本が売れるという。
「うちは単なるきっかけ。以前からあったものが注目されたり、絵になるスイーツを出す店が出てきたりして、街が活気づいている」と尾辻さん。
犬山城の城山のふもとにある三光稲荷神社のピンク色をしたハート形絵馬は2012年からあったが、若者の観光客が増えた昨夏から注目されるようになった。レンタル浴衣を扱う店ができたことも若者をひきつけているという。