大阪府和泉市の夫婦が殺害され、2009年に遺体がドラム缶から見つかった事件で、強盗殺人などの罪に問われ、一、二審で死刑判決を受けた鈴木勝明被告(50)について、最高裁第三小法廷(戸倉三郎裁判長)は7日、弁護側と検察側双方の意見を聞く弁論を開いた。弁護側は改めて無罪を主張して結審した。
一、二審判決によると、鈴木被告は04年12月、和泉市の元会社社長、浅井建治さん(当時74)の自宅敷地内で浅井さんと妻きよさん(同73)の頭部を鈍器で殴って殺害し、腕時計や車を奪った。
弁護側は、大阪府警が夫婦宅の敷地で採取した血痕や毛髪を紛失した点を挙げ、「第三者の犯行の可能性を立証する機会が奪われた。凶器も見つかっていない」と無罪を主張した。
検察側は「第三者が殺害に関与したことを示す証拠はなく、被告側の主張は責任を免れるための弁解だ」と反論。強固な殺意に基づく残虐で冷酷な犯行であり、死刑が妥当とした。
13年6月の一審・大阪地裁堺支部判決は、鈴木被告が事件直後、夫婦宅からなくなった腕時計を質店で換金した点などから、「被告が犯人でなければ合理的な説明ができない。生命を軽視した犯行で、極刑をもってのぞむほかない」と死刑を適用。14年12月の二審・大阪高裁も支持した。(岡本玄)