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写真で戦時のプロパガンダ担う 山端祥玉が写した米万博

写真・図版


山端が1939年4月に撮ったニューヨーク万博の国際館日本部。写真壁画は《躍進日本》とタイトルが付けられていた(日本カメラ財団提供)


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大戦時のプロパガンダで大きな役割を果たし、終戦後は昭和天皇を撮った写真家、山端祥玉(やまはたしょうぎょく、本名・啓之助、1887~1963)が1939年に米国での万国博覧会を訪れた際の写真が東京都内で初めて公開されている。当時の万博は各国がイメージを競う舞台。自国の宣伝という使命を帯びた山端の活動は、現代のメディアと政治の関係をも考えさせる。


山端が経営する写真制作会社「G.T.サン商会」は、ニューヨーク万博で日本が出品した写真壁画の制作を担当。山端も渡米し、サンフランシスコ万博と欧州も回ってドイツのヒトラーによる観兵式を撮った。


日本カメラ財団(JCII)が遺族からネガの寄贈を受け、80点をプリント。日本人の近代的な生活ぶりや養蚕などの産業、文化を伝えた日本館のほか、他国の展示や街の屋外広告なども山端が積極的に撮影していたことがわかった。


出張にあたり、山端は内閣情報部から、欧米での写真宣伝の実態調査を委嘱されていた。欧州で「日本は宣伝が下手だ」と言われ、「軍部当局にお願いして、新しい兵器、新しい軍艦を(外国に向けて)発表さして戴(いただ)きたい」などと述べた帰国報告会の速記録も展示されている。


山端は終戦まで内閣情報部や陸・海軍省の嘱託として、自国を誇る内容の宣伝写真を多数制作し、雑誌や絵はがきに載せた。昭和天皇の肖像は46年元日の「人間宣言」の新聞記事に添えられ、47年には公職追放された。財団の白山真理・調査研究部長は、「山端は国の意向に沿って写真イメージの活用を率先して進めた。近隣情勢が緊迫する今も、同じようなことが続いていないか。考えるきっかけになれば」と話す。


「山端祥玉が写した1939年万博の旅」展は東京・半蔵門のJCIIフォトサロンで25日まで(11、18日休館)。無料。(小川雪)



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