韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、13日からの中国初訪問を前に中国中央テレビ(CCTV)のインタビューに応じ、米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD〈サード〉)の韓国配備について「北朝鮮の核・ミサイルに対する防御目的を超えて中国の安全保障を侵害することがないように格別に留意し、その点について米国から何度も確約を受けている」と述べた。
12日に韓国大統領府が内容を発表した。中韓は10月31日に関係改善を目指す共同文書を発表したが、中国側では韓国に置かれるレーダーの探知範囲が自国にも及ぶとの不信感がくすぶっており、訪中を前に釈明した形。「米国からの確約」を公言するのは異例だが、具体的にどんな方法で留意するかは触れなかった。
一方で、文氏は、中国との関係改善にあたって韓国の康京和(カンギョンファ)外相が表明した、THAADを追加配備しない▽日米ミサイル防衛(MD)に加わらない▽日米韓協力を軍事同盟に発展させないの「三つのノー」については、「韓国が守ってきた立場を述べただけだ」と主張し、新たに韓国側の安全保障政策に縛りをかけるものではないとの認識を示した。
文氏はまた、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決には中韓の協力が極めて重要だと指摘し「両国が同じ立場に立って(北朝鮮を)対話の場に引き出す努力をしていくならば、必ずいい結果がある」と述べ、14日に行われる習近平(シーチンピン)国家主席との首脳会談の成果に期待した。(ソウル=武田肇)