琥珀に閉じこめられた「羽毛恐竜」の羽毛とダニ〈右上は拡大したダニ〉(エンリケ・ペナルベル氏、ネイチャーコミュニケーションズ提供)
恐竜もダニにかまれていた――ミャンマー産の約1億年前の琥珀(こはく)から、恐竜に寄生したダニを英国などの研究チームが初めて見つけた。新種として吸血鬼「ドラキュラ」にちなみ「デイノクロトン・ドラクリ」と名付けた。12日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズで発表した。
琥珀は粘り気がある松ヤニなどが固まったもので、タイムカプセルのように古代の生き物を封じこめることがある。チームは今回、恐竜がいた白亜紀の約9900万年前の地層から出た琥珀に、体長約4~1ミリのダニが複数入っていたのを見つけた。
このうち、マダニの仲間1匹は羽毛をつかんでいた。毛の特徴から、2本脚で歩く鳥に似た「羽毛恐竜」のものと判断。また別の琥珀にいたダニは新種で血を吸ってふくれていた。このダニと一緒に、恐竜の羽毛を食べたと考えられる昆虫の一部も見つかり、恐竜の血と推定。「ドラキュラの恐ろしいダニ」という意味の学名をつけた。
今回の発見は、琥珀に閉じこめられた古代の蚊から、血液中のDNAをとりだし、遺伝子操作を駆使して恐竜を再生するSF「ジュラシック・パーク」を連想させる。ただ、研究チームによれば実際には恐竜DNAは長年の間に分解してしまうという。
ダニは現在でも代表的な寄生虫だ。研究チームは「恐竜が6600万年前に絶滅した後も、ダニは生き残るだけでなく、繁栄し続けている」としている。(小堀龍之)