厚生労働省は、保育の質を議論する有識者会議を5月中にも立ち上げる方針を固めた。ひとりの保育士が受け持つ子どもの数や、必要な部屋の広さなどの最低基準も取り上げる見通し。議論次第では、今より少ない保育士数や狭い面積など基準を引き下げる方向に進む可能性もある。
認可保育園の保育の質は、保育士配置や面積に関する国の最低基準(例えば0歳児3人につき保育士1人、はいはいする0歳児は3・3平方メートル確保)などで担保されてきた、というのが国の立場だ。
実際には、多くの自治体が「手が足りない」「狭い」といった理由で、国の基準に上乗せしてきた。一方、国は待機児童解消のため、国の基準通りとすることで、受け入れ数を増やすよう求めてきた。
今回の会議は、3月の衆院厚労委員会での質疑がきっかけとなった。現行基準の緩和を主張する日本維新の会の議員が、自治体の上乗せ基準について「最低基準でやっている保育園の子どもと、どれぐらい育ちに影響するか、詳細なデータがほとんど取られていない」と述べ、保育の質を具体的に議論するよう提起。これを受け、加藤勝信厚労相は議論の場を設ける意向を示していた。
会議では学識経験者らが、海外の先進事例との比較や保育関係者に聞き取りをすることなどを検討している。国の「保育所保育指針」や、処遇改善につながる保育士のキャリアアップ研修も議論する予定。(浜田知宏)