全国学力テストで小中学校の多くの科目が全国平均を下回っている宮城県で、特に下位にある東松島市が今年から、小中学校の夏休みを短縮して授業時間を増やす。県教育委員会によると、学力向上策として長期の休みを減らすのは、県内の市町村で初めてという。
市によると、昨年は36日間の夏休みがあったが、今年は31日間に減らし、例年よりも5日早く2学期を始める。これにより授業時間を30時間増やす。
市内には小学校8校(昨年11月時点の児童数2119人)と中学校3校(生徒数1155人)があり、幼稚園(1園)も夏休みの期間を小中学校に合わせる。
長期の休みの期間は、市の学校管理規則で変えることができる。各学校長からすでに了解を得ており、今月29日の市教育委員会で正式に改訂を決める。
全国学力テストは、文部科学省が小学6年と中学3年の全員を対象に国語と算数・数学で実施している。昨年4月の調査では、中学校国語B(活用に関する問題)を除き、県全体の小中学校の全科目が全国平均以下だった。
東松島市は、小中学校の全科目で県平均を下回った。特に中学3年の正解率が悪く、数学だと県平均より10ポイント低かった。
市教委は、大震災の影響もあるとみている。工藤昌明・市教育長は「中学3年の生徒は震災時に小学2年だった。避難所や仮設住宅といった、勉強がしにくい生活環境に長くいた」と話す。家庭でテレビ視聴や携帯ゲームをしている時間が県平均よりも長く、それが学力低下につながっていると分析している。
市議会でも対策を取るよう求められていた。教員の指導力向上などの取り組みを講じてきたが、十分な成果がみられないとして、夏休みの短縮に踏み切ることにしたという。(岡本進)