全豪オープンで使われている最新鋭の審判台=AFP時事
メルボルン・パークで開幕したテニスの全豪オープン。この4大大会今季第1戦で、新たに導入されたコート上の設備に、観客が目を丸くしている。先端技術を駆使し、椅子が電動で昇降する審判台だ。従来のように、手足を使ってはしごを上り下りする必要がなくなった。
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「新しい全自動のチェアは、実用的なだけでなく、ファンにとっても非常に面白いものになるだろう。審判が安全ベルトを締め、ボタンを押して必要な高さまで上がる姿を、ファンはワクワクしながら見てくれると確信している」
大会を主催する地元協会の最高執行責任者トム・ラーナー氏の予感は、当たった。
4大大会で、審判台の高さは「地面から座席まで182~244センチ」と規定されている。
大会初日の15日にあった女子シングルスの1回戦。降雨による中断で、アーチ状の屋根が付いた椅子に腰掛けたまま、審判が地面の高さへ下りると、客席がざわついた。開幕前には、この全豪で現役を退く地元選手のサミュエル・グロートも試運転を堪能し、「すごい発明だ。ファンは気に入るだろう」とうなったという。
ラーナー氏は「選手、役員、ファンの経験をいかに向上させられるか。我々はテニスコートをあらゆる視点から検討し、5年の頻度でコートの備品を新しくしている」などと説明。メインコートなど三つの会場で使用する新型審判台の開発には、丸1年の月日を費やしたという。
「形状もさることながら、全自動チェアに組み込まれたLEDライトによって、試合会場に色とエンターテインメントの要素も加えることができた」と自画自賛している。(富山正浩)