男子シングルス1回戦で第8シードのソックを破り、声を上げて喜ぶ杉田=AP
(16日、テニス全豪オープン)
初日の15日に男子シングルス1回戦で、世界ランク41位、29歳の杉田祐一(三菱電機)が演じた番狂わせ。同9位、第8シードのジャック・ソック(米)を6―1、7―6、5―7、6―3で下したニュースは、瞬く間に世界へ発信された。世界のトップ入りを果たした錦織圭(日清食品)以外の日本の男子選手が、4大大会で上位シードを破るのはそれほどの快挙といえる。
大会公式ツイッターは、「米国人にとって良くない日……ジャック・ソックが早くも全豪オープンから追い出された」「杉田祐一の何という素晴らしきパフォーマンス」と絶賛。男子ツアーの公式サイトは「ソック、早くも撤退」と、日本のナンバー2杉田が、第1サーブで75%、第2サーブでは60%と高い確率でポイントにつなげ、伸び盛りの25歳を退けたことを取り上げた。欧州のスポーツ専門放送局ユーロスポーツも、サイトで「杉田が素晴らしき勝者に」などと動画付きで伝えた。
杉田は格上相手に積極性を失わなかった。第1セットを先取。第2セットはタイブレークの0―3から、「なんとしても取りたかった」と加速した。2時間半超の熱戦を終えてみれば、相手のラケットに触れさせずにポイントを奪う決定打「ウィナー」の数でも、相手の30本を上回る53本を記録する快勝劇。自身初となる世界のトップ10からの白星に、「集中力を維持できたのは良かった。自分のテニスを貫けたのは評価できる」と手応えを口にした。
昨季は、ツアー大会で日本男子3人目となる優勝を達成。1月に100位台だった世界ランクも急上昇させた。とはいえ、4大大会ではこれがまだ3勝目。世界的には、まだそれほど注目される存在になったとは言えない。
ただ、グランドスラムで3大会連続の初戦突破を成し遂げ、眺める景色がまた少し変わったのも事実。「そういう場所に踏み入り、身を置きたいというのがあった。ただ、ただ、強いプレッシャーを求めたい」(富山正浩)