上映に臨む左から内田也哉子さん、田中日月君、田中椿ちゃん、富名哲也監督、畠中美奈さん=17日、ベルリン、石飛徳樹撮影
第68回ベルリン国際映画祭で17日、ジェネレーションKプラス部門に参加している富名(とみな)哲也監督の「Blue Wind Blows」が上映された。児童・青少年向けの作品を集めたベルリン独自の部門だ。11~14歳の子どもたちが審査員を務め、クリスタル・ベア賞を競うことになる。
行定監督作品でオープニング ベルリン国際映画祭が開幕
父親が行方不明になった家族の物語。日々の暮らしの中に起こるちょっとした出来事を繊細に描く。富名監督のオリジナル脚本で、昨年春に全編佐渡島で撮影された。主人公の少年とその妹役は島内のオーディションで決定。少年アオは当時小学6年生の田中日月君(13)、妹キイは田中椿ちゃん(10)と実の兄妹が演じ、母親役を7年ぶりの映画出演となる内田也哉子さんが演じた。
この日は、富名監督と妻でプロデューサーの畠中美奈さんのほか、2人の兄妹と内田さんも出席。レッドカーペットを歩いて会場入りした富名監督は「ドイツの観客に迎え入れてもらって、温かい気持ちになりました。賞を期待するといつも嫌な気持ちになるので、今回は自然体で臨もうと思います」と笑顔で話し、「子ども向けの映画ではないので、子どもたちにどんな風に見てもらえるのか楽しみです」と述べた。
田中君は着物姿でりりしく登場。「演技はとても難しかった。(ベルリン映画祭で上映されることは)うれしいけれど、ドキドキしています」と話した。
内田さんは実父の内田裕也さんと初共演。「父とは一度も一緒に暮らしたことがなかったので、今回は義理の娘役ですが、佐渡での撮影で過ごした数日間は私の人生にとってすごく貴重な体験になりました」と振り返った。「父とは普段会う時には緊張感がみなぎっているんですが(笑)、温かい父娘になっていたのなら、演技がちゃんと出来ていたということですね」と語った。(ベルリン=編集委員・石飛徳樹)