堀里紗さん(右)の引退時、並んで写真に収まった菊池彩花(2010年2月、堀さん提供)
21日のスピードスケート女子団体追い抜きで、日本が金メダルに輝いた。準決勝で滑った菊池彩花(30)には、苦しい時を支え合った親友がいる。富士急行で同期だった元選手の堀里紗さん(30)。引退後もけがのときに駆けつけ、支えになってきた。
女子団体追い抜き、五輪新で金
富士急行は、五輪に5回出場した岡崎朋美さん(46)らが輩出した名門。2人は2006年に入社した。数年はどちらも国際大会に行けず、ともに残って自転車や坂道のダッシュなど地道な練習に励んだ。寮では隣部屋。互いの部屋に行き、練習を撮影したビデオを見て改善点を指摘し合った。
オフには新宿や渋谷で買い物をした。思ったことをズバズバいう堀さんに対し、穏やかで文句を言わない菊池。菊池が商品の当選をかたる迷惑メールを見て「お米があたった」とだまされそうになり、注意したこともあった。
堀さんは10年のバンクーバー五輪に行けず、引退を決意した。真っ先に伝えたのは菊池。菊池は涙を流し、「私はがんばるから」ときっぱり言った。
今もLINEで頻繁にやりとりする。16年夏、菊池が練習中に右足を他の選手の刃で切って手術した際は、タオルや水を持って駆けつけた。
「彩花が自分で自分をほめられるような滑りをしてほしい」。その願いに、金メダルにつながる滑りで応えた。(高浜行人)