愛知県知立(ちりゅう)市の名鉄三河線三河知立駅のホームで10日午後11時10分ごろ、頭から血を流して倒れている男性が見つかった。男性は外国人とみられ、間もなく死亡した。県警は、刃物による傷が複数あったことから殺人事件として捜査を開始。近くの防犯カメラの映像などから、外国人風の十数人の男女が、現場のホームで男性を待ち伏せする様子や、事件後に駅から逃走する姿が確認されており、県警は事件に関与した疑いもあるとみて行方を追っている。
県警によると、男性は30~40代とみられ、ホームでうつぶせで倒れていた。消防に「血を流している男性がいる」という通報があり、現場近くにいた警察官が発見した。司法解剖の結果、頭部や首、背中を刃物で刺されて失血したことなどが死因だった。
捜査関係者によると、男性は近くの自動車部品工場で働くベトナム人とみられ、頭部と背中は繰り返し刺されていた一方、財布や携帯電話は奪われていなかった。県警は、被害男性の身元の特定を急ぐとともに、事件は金品目的ではなく、逃走した人物らと何らかのトラブルがあったとみて調べている。
三河知立駅は無人駅。被害者とみられる男性を雇っていた人材派遣会社の社長によると、男性は今月、知人のトラブルの仲裁に入っており、10日昼にも知立市内で話し合いをしていたという。社長は「仕事もまじめで、困っている人を助けるいいやつだった」と話した。