文部科学省前事務次官の前川喜平氏の講演内容をまとめた資料を手に会見する上井靖・名古屋市立八王子中学校長(右)。左は藤井昌也・名古屋市教育委員会指導室長=16日午後、名古屋市中区、小川智撮影
前川喜平・前文部科学事務次官が講演した名古屋市立八王子中学校(同市北区)の上井(うわい)靖校長が16日、市役所で記者会見した。文科省からの質問について「すごく抵抗があるわけではない」と述べる一方、「(前川氏は生徒を)とても勇気づけてくれる方だ」と講演は適切だったとの認識を示した。
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上井校長は約3年前に前川氏の講演を聞いて感銘を受け、今回の講演を依頼したという。「(前川氏が天下り問題に関与した)過去の行為とは切り離して考えた」と説明した。
「質問には真摯(しんし)に答えた。文科省が内容を確認したい気持ちは分からなくはない」として、文科省への批判を避けた。
文科省のメールは、質問の目的を明確にしていなかった。会見に同席した市教育委員会の藤井昌也指導室長は、「授業の内容に踏み込んでの質問はあまり経験したことがない。意図はきちんと聞いていかないといけない」と述べ、今後文科省に問い合わせる方針を示した。
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上井靖・名古屋市立八王子中校長の記者会見での発言は次の通り。
――文部科学省から前川喜平・前文部科学事務次官の講演についての質問を受けたが。
「文科省に対し腹が立っているということはない。こういう状態になっていることは自然体で受け止めている」
――前川氏を講演に招く時、文科省のこうした反応は考えなかったのか。
「なかった。話が分かりやすく、ぜひ子どもたちにエールを送ってほしいという思いでお願いした」
――提供を求められた音声データを、なぜ渡していないのか。
「記録用にビデオを撮った。ほとんどが前川さんの話なので、渡すなら前川さんの承諾が必要と思い、控えさせていただいた」
――文科省は繰り返し前川氏の天下り問題による辞職や出会い系バー利用について質問しているが。
「そこを詳しく聞きたいのかなとは思った」
――文科省は、問題を起こした人物を教育現場に出すことは妥当かと質問しているが。
「何かした人は絶対にだめだとは、人権教育の上でもしたくない。過去の行為を切り離して考えた。前川さんは多くの人が知っていて、講演には地域の方もたくさん参加した。どんな話をしたのか、文科省がきちんと把握したい、確認したいという気持ちは分からないでもない」
――林芳正文科相が記者会見で、学校が十分に調べずに前川氏を招いたのは「必ずしも適切とは言えず、もう少し慎重な検討が必要だった」と述べたが。
「そう思われたんだな、というだけ。発言を否定するとかではなく、受け止めはいろいろあるのだろうと思っている」