証人喚問のため国会に入る佐川宣寿・前国税庁長官=27日午前8時48分、国会、竹花徹朗撮影
財務省が森友学園との国有地取引に関する決裁文書を改ざんした問題をめぐり、改ざん当時の同省理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)・前国税庁長官(60)に対する証人喚問が27日午前、参院予算委員会で始まった。佐川氏は改ざんを知っていたかどうかとの質問について、「捜査の対象で刑事訴追を受ける恐れがあり、答弁を差し控えたい」と述べ、答弁を拒んだ。
【速報中】佐川氏の証人喚問、参院で始まる
財務省はこれまで、改ざんは国会答弁との整合性を図るため、理財局の一部職員により2017年2月下旬から4月にかけて行われたと説明している。理財局長だった佐川氏は改ざんへの関与が大きかったとしているものの、佐川氏の関与の具体的な内容までは明らかになっていない。
佐川氏はこの日の証人喚問で、改ざんについて「当時の担当局長として責任はひとえに私にある。深くおわびしたい」と陳謝。そのうえで、政治家らの関与について「首相官邸の指示はなく、財務省理財局で対応した」と語った。
一方、安倍晋三首相の妻昭恵氏は、森友学園が開設予定だった小学校の名誉校長を一時務めたり、昭恵氏付の政府職員が財務省に国有地に関して照会したりしていた。改ざん前の決裁文書にも昭恵氏に関する記述があったことから、国有地売却や改ざんへの影響も焦点になっている。
また、首相が17年2月17日の衆院予算委で「私や妻が関係していたということになれば、私は総理大臣も国会議員も辞める」と発言。こうした発言が改ざんに影響したのではないかとの見方も出ている。
佐川氏はこの日の証人喚問で、首相や昭恵夫人の関与について「指示はなかった」と否定。また、麻生財務相の指示についても否定した。
証人喚問は27日午後には衆院予算委で行われる。28日には証人喚問を踏まえ、参院予算委で集中審議が行われる見通しだ。