西武の菊池雄星
(8日、プロ野球交流戦・西武5―4巨人)
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昨年、最も活躍した先発完投型の投手に贈られる「沢村賞」を争った両者による投げ合い。制したのは、この栄誉を逃した方だった。西武の菊池が、巨人の菅野に投げ勝った。
「体が元気だった」と150キロ台を連発した前回の復帰登板から一転、今回は粘り強さが光った。一、二回は、四球で無駄な走者を出し、得点圏まで進められながらも、何とかしのいでいった。
立ち直るきっかけをつかんだのは、敵地での交流戦ならではの出来事だった。
三回無死一塁で、打席に立った。普段のリーグ戦は指名打者制があるから、それだけでも珍しい。作戦は当然、送りバント。だが失敗し、一塁走者として残った。次打者はバウンドが高い一ゴロで、菊池は二塁へ滑り込んだ。続く源田も安打で、三塁に疾走。慣れない動きに、塁上では両ひざに手をついて休んだ。浅村の右前安打で、ゆっくり本塁にかえってきた。
走ったことで「一汗かいて、体が軽くなった。逆にプラスに働いた」。右のひざや尻に土がついた状態での投球は「いい具合に、どの球も制球できた」。中盤から投球動作を遅くすることを意識し、四~七回はすべて三者凡退に抑えた。
菅野を「日本一の投手」と見上げる菊池。パを代表する左腕から、球界を代表するエースへ、一歩近づいた。(井上翔太)
○辻監督(西) 復帰2戦目の菊池について「足場を気にしていたけど、四球を出しても、抑えるのはさすが」。
●菅野(巨) 相手の先発野手全員に安打を浴び、5回で降板。「単純に悔しい。どんな相手でも負けるのは僕の責任」