阪神・藤浪
(15日、プロ野球交流戦 阪神4-0楽天)
阪神の藤浪が、1年1カ月以上ぶりの勝ち投手になった。七回途中で降板。救援陣の力も借りた。「長かったなというくらいで。感傷的にはならなかったと思います」。そう言いながら、口調は弾んだ。「次はチームに助けられるんじゃなく、助けられるように」と誓った。
今季6試合目、勝てなくなってからは13試合目。直球は荒れ気味だったが、スライダー系の変化球が助けてくれた。三回1死満塁では、島内を中途半端に振らせて三塁ゴロ併殺に。ここが勝負の分岐点だった。
大阪桐蔭高3年時に春夏とも甲子園を制した男が、昨年5月4日を最後に勝てなくなった。悩んだのが制球難。それも走者を背負うと突如として乱れるため、救援陣も出番が読めない。登板試合でチームは1分けを挟み10連敗中だった。
負け続けた日々でも、変わらないことがあった。どんなに惨めに降板しようが、報道陣の前で立ち止まって全ての質問に答えた。高校時代から、マスコミの後ろにファンの存在を感じているからだ。「今日、良かったのは」と切り出し、プラス材料を口にした。絶対に弱音は吐かなかった。
心の弱さを指摘されたが、藤浪は技術の問題だと考えてきた。4月下旬から1カ月半の2軍生活では変化球ばかりを投げ込んだ。豪速球が代名詞だが、力むと腕が横にぶれる。変化球を同じフォームで投げるのが勝利への近道だと信じた。通算46勝目。どの勝利より、この1勝は重い。(伊藤雅哉)
●梨田監督(楽) 接戦を落とし40敗目。「三回の満塁機で、島内が三ゴロ併殺打に倒れるとは想像もしていなかった。最悪の結果」
●辛島(楽) 決勝2ランを含む被安打2で負け投手。「本塁打は内角狙いが外角にいった逆球。もったいなかった」