360度動画「いきもの目線」
栃木県日光市のテーマパーク「日光さる軍団」が29日、開業3周年を迎える。人気の集団芸「おさるの学校」「おさるの警察署」は、笑いあり風刺の利いたジョークあり。今回、特別にサルたちと一緒に授業を受けているような360度動画を撮影した。
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教室に見立てたステージに小さな机といすが置かれ、ニホンザル6頭が座っている。
「起立。礼」
猿芸師のかけ声に合わせ、一斉に立ち上がってお辞儀をする。そのしぐさに思わず笑みがこぼれる。
算数の授業では、「2足す3は?」の質問に数頭が挙手。名前を呼ばれたちび次郎が片手を挙げて、その手を見た猿芸師が「5。はい、正解!」。
倒れているおばあさん役のサルを助けるという設定の「道徳の授業」もある。手を引いて介助するサルがいたり、スマホ片手にツイッター投稿をするサルもいたり……。人間社会をテーマにした演技は見事だが、おやつの時間になると様子は一変。好物のバナナが見えたとたんに落ち着かなくなり、その変わりようが面白かった。
「反省ポーズ」で知られた猿芸師の村崎太郎さん(57)は「サルと1対1の芸から、ここでは集団芸になり、本当に苦労した。今はそれぞれの個性を引き出すことが楽しい」と話す。2020年の東京五輪に向けて、様々な競技の芸ができるようにしたいと意気込んでいる。
同園の今年の大型連休の目玉は、サルと人間のお笑いコンビ「ゆりありく」のサル、「りく」の引退公演。りくは18歳で、人間に換算すると62歳。テレビなどで活躍してきたが、余生をゆっくり楽しませたいという。
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1992年に開園し、集団芸で一世風靡(ふうび)した「日光猿軍団」は、調教師不足やサルの高齢化、東日本大震災の影響で2013年末に閉園。日本の伝統芸である猿回しの消滅を危惧した村崎さんが2015年4月に「日光さる軍団」として引き継いだ。(竹谷俊之)