小沢健二
今年2月、19年ぶりにシングル「流動体について」を発表し、話題となったミュージシャンのオザケンこと小沢健二が29日、新潟県湯沢町で開催中のフジロックフェスティバルに初登場した。会場は入場規制がかかる人気ぶり。過去のヒット曲中心の構成だったが、発売前のニューシングルも一足早く披露するなど、現在進行形のオザケンも随所に見せ、会場は驚きと喜びにあふれた。
【写真特集】フジロックフェスティバル
2月、20年ぶりに出演したテレビ朝日系列の「ミュージックステーション」での「フジロック出演宣言」が大きな話題を呼んだ。間違いなく、オザケンは今年のフジロックのハイライトの一つだった。関心の高さを裏づけるように、会場のホワイト・ステージは、入場が制限され、押し合いへし合いのすし詰め状態に。
メディアのステージ上の撮影はNG。フジロックの場合、ミュージシャンによっては撮影不可でも後日、オフィシャル写真の提供は普通あるが、そちらもなし。ステージ上部のスクリーンにも小沢の姿は映し出されず、現場の観客は肉眼で確認するしかなかった。
雨が降りしきるなか、ライブは午後8時すぎに始まった。10人を超えるバックバンドを従え、白のシャツと、ジーンズ姿でステージに現れた。1曲目「今夜はブギーバック」をスチャダラパーも姿を見せるなかで披露すると、会場からどよめきと大歓声が上がった。続けて「僕らが旅に出る理由」でいきなり最高潮に。
このままヒット曲オンパレードになるかと思いきや、「まだ録音してない新曲です」と言って、新曲「飛行する君と僕のために」を披露し、会場を驚かせた。ジャズファンク風のグルーブ感ある曲で、ホーンセクションのスパイスも印象的だ。
その後「ラブリー」「さよならなんて云(い)えないよ」「強い気持ち・強い愛」など、1990年代に青春を過ごしたフジロック世代にとっては、胸が高鳴るヒット曲のオンパレード。狭い中でも踊る人が続出した。
19年ぶりのシングル「流動体について」を歌い終えると、初めてMCで「愛してるぜ、ロック好きな人……まじで」とステージから語りかけた。同時に、「流動体について」に続くシングルを9月にリリースすると発表した。
「フクロウの声が聞こえる」というタイトルで、「今までの僕のことと、これからの僕のこともいっぱい詰まっていて、最高の録音になったと思っています。何十万回でも聞いてください」と語り、最後にその曲を披露してライブは幕を閉じた。
全体を通してみれば、過去のヒット曲満載のステージだったが、随所に新しいオザケンの姿が感じられるライブだった。(河村能宏)