板門店で27日、金正恩委員長(右)の紹介で、韓国の文在寅大統領は北朝鮮側の随行員とあいさつを交わした(韓国共同写真記者団撮影)
北朝鮮の朝鮮中央通信は28日、板門店で27日に行われた南北首脳会談を伝えた。会談後に発表された板門店宣言も、「完全な非核化を通じた核のない朝鮮半島」という表現も含めてそのまま全文を報道した。核開発問題を巡る北朝鮮の新たな方針は伝えていない。
【ニュース特集】南北首脳会談
同通信は首脳会談の様子も詳しく報道。首脳会談について「北南関係問題と朝鮮半島平和保障問題、朝鮮半島非核化問題などについて意見交換した」と説明した。記念植樹や夕食会の様子も伝えた。
27日午後に金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と文在寅(ムンジェイン)韓国大統領が2人だけで30分以上意見交換したことについては「真摯(しんし)に談話を交わした」と伝えた。情報関係筋によれば、正恩氏はこの席で「完全な非核化の意思」を文氏に伝えたという。
同通信は「我が民族の祖国統一史に特記すべき歴史的な瞬間」と伝え、正恩氏の指導力を褒めたたえた。
28日付の労働新聞(電子版)も全6面のうち1~4面を使って南北首脳会談を報道。写真61枚を掲載した。1面トップ記事は見出しで「民族の和解団結と平和繁栄の新時代を開く歴史的出会い」と評した。
一方、同通信は27日、北朝鮮が21日に発表した核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射中止などの措置に対する米国の反応を批判する論評を伝えた。
論評はこの措置について「核兵器のない世界建設に貢献するために積極的に努力することを宣言した」と説明。「米国の一部が我々の戦略的決断に対し、被害妄想的に反応している」と批判した。
北朝鮮の論評は、この発表が、非核化措置を巡る米朝交渉の一環だった可能性を自ら認めたものだと言えそうだ。(ソウル=牧野愛博)