米カリフォルニア州サンノゼで1日、開発者向けのイベントに登壇したフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO=AP
米フェイスブック(FB)が個人情報管理の改善策を次々と打ち出している。利用者の個人情報が2016年の米大統領選で不正利用された疑惑が偽ニュース問題と相まって、社会問題となったためだ。米議会などでは個人情報を扱う大手IT企業の規制強化の意見もあり、先手を打って改革姿勢を示す狙いだ。
マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は1日、米カリフォルニア州サンノゼで開かれた開発者向けのイベントに登壇すると「大変な年だった。まだ4カ月なのに」と開口一番、苦笑した。
ザッカーバーグ氏は「選挙を守る、偽ニュースと戦う、個人情報を保護する」と三つの柱を強調した。具体的には、利用者が使うサイトやアプリのうち、FBに情報を送っているものを一覧にし、閲覧履歴などを消すことができるようにする。履歴を消すと匿名になるように処理され、FB側に送られる情報は性別や年代など、これまでより大まかなものになるという。
FBは利用者の好みや属性などを元に、細分化した広告が出せることを売りに広告収入を伸ばしてきた。今回の変更が広告収入に影響する可能性があるが、信頼回復にはやむを得ないと判断したとみられる。
FBはこれまでに、選挙関連などの広告を出す場合は広告主の身元を明らかにするよう求め、事前に確認作業をすることなどを決めた。AI(人工知能)を駆使して偽ニュースが拡散する前に事前にアカウントを削除するなど、利用者の不信の払拭(ふっしょく)を急いでいる。(サンフランシスコ=宮地ゆう)