広島県福山市の市立中学校で4月、2年生の男子生徒が同級生の男子生徒に押され、手首などを骨折する大けがを負っていたことが21日、学校や市教委への取材でわかった。学校がけがを市教委に報告し、いじめと判断して調査を始めたのは約1カ月後だった。
学校などによると、男子生徒は4月16日、休み時間中に同級生に追いかけられて押され、壁に手をついて倒れた。同級生は男子生徒の背に乗り、肩を引き上げるように引っ張ったという。同級生は直前に男子生徒に触れられ、「ちょっかいをかけられたと思った」と話しているという。
男子生徒は右手親指の付け根付近と左手首などを骨折。だが、学校は当初、双方の生徒からの聞き取りでいじめと判断せず、けがも市教委に報告していなかった。男子生徒の保護者がこの件で学校を訪ねた5月15日に市教委へ報告。校長は「(報告を)失念していた」と話している。
16日に学校が改めて男子生徒に話を聞いたところ、「これまで嫌な思いをしてきた」と話したといい、いじめ防止対策推進法が定める「重大事態」と判断。17日に市教委へ報告した。
学校は同日、校内に調査組織を設置。21日に全校集会を開いて生徒に説明し、今回の問題も含めたいじめについてのアンケートも実施した。今後はアンケートの回答をもとに全校生徒と面談し、実態を調査する。
市教委は学校側の対応について「報告が遅れたことは遺憾だ」としている。(橋本拓樹)