12日、パラグアイ代表との国際親善試合でシュートを放つ山口=内田光撮影
The Road MF山口蛍
「戦術より、走ったり、しっかりファイトしたりする」。そう誓う日本代表のMF山口蛍(ほたる)(27)の胸の内には、W杯のメンバーから漏れた同世代の仲間への思いがある。
特集:The Road ロシアW杯へ
カザン入り直前の12日にあった国際親善試合パラグアイ戦。前夜、ミーティングで西野監督から指名され、ゲーム主将としてピッチに立った。32歳のFW岡崎らを差し置いての登用に、指揮官は「少し、蛍に元気がなかったから」。先月30日のガーナ戦では動きに精彩を欠いていたからだった。
長年、同じ中盤の底に位置する長谷部がつけてきたキャプテンマークを左腕に巻くことに、「重圧は感じた」という。一方で、それを力に変えた。パラグアイ戦では、豊富な運動量と球際の強さでこぼれ球を次々と回収。本来のたくましさが戻った。
自分がやらなければいけない。その責任が、あるから。
4年前、23歳で出たブラジル大会は3戦ともプレーしたが、1勝も出来ずに1次リーグ敗退。失意のチームの中、キャンプ地に戻ると、出番の少なかった同世代の仲間に翌朝の練習を呼びかけた。「次は自分たちが頑張らないといけない」
そのとき誓いをともにした多くは、2012年ロンドン五輪で4位になったときのチームメート。ただ、勝負の世界は甘くない。けがなどの不運もあるが、代表にひとり、またひとりと呼ばれなくなっていった。今回のW杯では、予選をともに戦ったセ大阪のチームメート、MF清武やFW杉本が最終メンバーに選ばれなかった。
「きついときも、いいときも、一緒に味わった仲間。彼らへの思いは強く、しっかり持って戦いたい。僕もチームも見せていく。タフに戦う姿を」(藤木健)