前半、先制ゴールを決めたパウリーニョ⑮を祝福するネイマール(中央上)らブラジルの選手たち=ロイター
(27日、ブラジル2―0セルビア サッカー・ワールドカップ)
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立ち上がりの10分だった。ブラジルをアクシデントが襲う。左SBのマルセロが背中を痛めて、交代。左サイドでネイマールと組む攻撃の要を失った。
チームに動揺が広がる。受け身に回った途端、セルビアの攻勢にさらされた。
「いまは耐える時間だ」。そういう意思統一で11人がつながった。FWの3人が自陣に戻って、パスの出どころを追う。押し込まれても争奪戦に力を注ぎ、得点さえ与えなければいいと、最後はゴール前で跳ね返す。小さなミスや反則が失点につながりかねない緊迫したなかで、激しくもフェアな守りを披露した。
ピンチをしのげば、チャンスは巡ってくる。前半25分にネイマール、29分にガブリエルジェズスがシュートを放つと、36分に1本の縦パスに抜け出したパウリーニョが先制。リズムを取り戻した。
攻撃力が注目を集めるが、ブラジルは攻めと同じように守備も大切にする。欧州の戦術にも関心の高いチチ監督ならなおさらだ。「サッカーでは、あらゆるバランスを取らなければならない」。守備と攻撃、個人の特徴とチームの規律。守備でもリズムをつかむ柔軟な試合運びだった。
後半も、圧力をかけるセルビアに押し込まれたが、泥臭い守りで耐えて、今度は左CKからチアゴシウバが追加点。10本のシュートを打たれながら、枠に飛ばされたのは1本だけだった。
スイスと初戦で引き分け、もたついたチームが第1関門を突破。「選手はこの3試合で成長している。ここからはさらに良くなる」。W杯の勝ち方を知り尽くしたブラジルである。(潮智史)