日中平和友好条約と中国の改革開放「ダブル40周年」のシンポジウムで、日中関係について議論する参加者たち=東京都千代田区、平井良和撮影
日中平和友好条約の締結と、中国の改革開放の始まりから40年を記念するシンポジウムが6月30日、東京都千代田区で開かれた。日中双方の外交関係者や研究者、経済人ら約150人が参加し、中国の経済発展などで変化していく両国関係のあり方を議論した。
40年前の中国は文化大革命が終わり、新しいことを学ぶ意欲にあふれた時代。上映され始めた日本映画が熱狂的に迎えられた。
主催した日本華人教授会議の廖赤陽代表は、その一つで、俳優の中野良子さんが「真由美」という名の女性を演じたことに触れた。「多くの中国人が、この名前に新時代の希望を見た。真実で自由で美しいんだと」と振り返った。そして、「四十にして惑わず。関係は改善と悪化を繰り返したが、そこからどう脱出できるか。大いに討論していきたい」と呼びかけた。
双方の専門家らが、経済や日本語教育などの協力事業を紹介。中国のポリオ撲滅で日中が協力したことを報告した拓殖大学の岡田実教授は「戦争の記憶はやはり大きい。一方で、どんな協力をしてきたかの記憶も国民レベルで共有していくことが大事だ」と指摘した。
1990年代から中国で植林活動を続けるNPO「緑の地球ネットワーク」の高見邦雄副代表は「今の中国は農村も含めて激しく変化している。若い人も現地に入り、自分の肌で感じてほしい」と話した。
いま中国では、「新時代」という言葉がたびたび使われている。静岡文化芸術大学名誉教授の馬成三氏は「かつての日中友好『新時代』は、中国が学ぶ時代だったが、今の新時代は互いに学び合う時代だ」と語った。(平井良和)