気象庁が統計を取り始めた1951年以降、「初めて」のコースをとる台風12号。東から西へ列島を横切る進み方をさせたのは、主には上空の寒冷低気圧だ。この低気圧の発生自体は珍しくはないが、さらに二つの高気圧の位置も影響して異例の進路となった。
深夜から未明に東海地方上陸か 異例台風、通過後も注意
台風12号、西日本で二次災害の恐れ 備えておくことは
25日に日本の南で発生した台風12号は太平洋高気圧に沿うように北上。その後、日本の東にあった寒冷低気圧に近づいた。この低気圧は反時計回りの空気の流れを持ちながら、ゆっくり西へ。台風は巻き込まれるように北西から西に進んだ。
当初、台風12号は日本海側へ抜けるとの予想もあった。だが今月の猛暑をもたらした要因でもあるチベット高気圧が大陸側から想定より南側に張り出した。台風は北方向への行き場を失い、西へと進む見通しとなった。
また台風は反時計回りの渦を巻いており、東側には南風が入る。南海上の水蒸気量が豊富な空気が運ばれ、北側の冷たい空気とぶつかって大気が不安定に。通常であれば台風の東側は進行方向だが、今回は通過後の地域にあたる。このため気象庁は「通過した後も激しい突風や短時間の強雨が起きる恐れがある」と注意を呼びかけている。(山岸玲)