ナガサキノート10年 記者再訪
長崎市の池田道明さん(79)は10年前、原爆で孤児になった「シゲちゃん」を探していた。
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記者が忘れられぬ「普通の人」 原爆免れた…その声再び
あの日の朝。6歳だった池田さんとシゲちゃんは長崎医科大学付属病院の屋上で砲弾のかけらのような金属片を拾って遊んでいた。しばらくするとシゲちゃんが「便所に行きたかけん、降りようや」と言った。池田さんは「シゲちゃんより大きいのを見つける」と渋ったが、「おいのをあげるけん」と言うシゲちゃんに従った。
屋上から降りた直後、強烈な青い光に襲われた。爆心地から700メートルの距離だったが、頑丈な建物に守られて2人は助かった。
【3Dで特集】ナガサキノート あの日、人々の足取り
1945年8月9~10日に爆心地数キロ圏内にいた人を中心に約150人について、証言から推測される足取りを地図上に再現しました。一人ひとりの証言が読めます。
シゲちゃんは原爆で母、祖母を失った。父も戦死。孤児になり、福岡県久留米市から来た救護隊について行った、と聞かされた。だが、その後の消息は不明。「会ってお礼が言いたい」。池田さんは「命の恩人」に、そんな思いを抱え続けていた。
その後、シゲちゃんは見つかったのだろうか。今年7月、池田さんを再び訪ねた。池田さんは浮かない顔で教えてくれた。
「シゲちゃんらしい人はわかっ…