「ブラック」「軍隊のよう」とも形容され、パワーハラスメントや人権侵害の可能性がある過酷な社員研修がなくならない。新入社員だけでなく、中堅の管理職向けにもある。働き手として心身を守るため、何に気をつければよいのだろうか。
「自分が受けた内容と同じだ。あれもパワハラ研修だったんだ」。西日本に住む40代の男性は1年前、社員研修で自殺に追い込まれて労災認定された新入社員の遺族が、勤め先などに損害賠償を求める訴訟を起こしたニュースに釘付けになった。携帯販売代理店の店長として受けた社員研修会社の研修の後遺症に苦しみ、退職した直後だった。
人里離れた宿泊研修施設では携帯の持ち込みは禁止され、のどが痛くなるほど大声で発声させられ、移動は小走りと決まっていた。
午前6時~午後10時の研修に加え、深夜までの自主勉強もあり、短い風呂の時間でシャンプーを洗い流せなかった同僚の女性もいた。リポートで「業務の改善点」として「人材の適材適所の配置が望ましい」と書いたら、「自己批判が足りない」と講師から罵倒された。怒鳴られ、自分だけ発言を無視されるなどの集中攻撃をされたという。
研修後に自律神経失調症になり、1日に何度も気絶するようになった。人事部や研修チームに「自己責任だ」と責められた。その後、通勤時間が2時間かかる倉庫への異動を命じられ、退職した。ニュースを見た後、「人格を破壊するような研修をなくしたい」とツイッターで発信し始めた。
関東の40代男性は、調剤薬局…