東京電力福島第一原発事故を受けて制作され、今月初めに福島市内に展示された子どもの像「サン・チャイルド」について、福島市の木幡浩市長は28日、撤去すると発表した。「賛否が分かれる作品を『復興の象徴』として設置し続けるのは困難」と述べた。
像は現代美術作家のヤノベケンジさん(52)=京都造形芸術大教授=が制作。高さ6・2メートル、重さ約800キロで、放射線防護服を着た子どもの胸のガイガーカウンターは「000」を示している。「原子力災害のない未来」を表現した作品で、民間団体が市に寄贈。市は放射線教育の機能や屋内遊具のある施設に設置した。ところが胸の数値について「自然界でもゼロはありえない」との批判や「震災当時、福島市では防護服は不要だった。誤解を招く」との意見が市に60件近く寄せられた。市が18~27日に実施したアンケートでは訪れた110人中、移設・撤去を求める意見が75人、存続が22人だったという。
木幡市長は「合意形成のプロセスを欠き、反省している」と述べ、ヤノベさんは「苦しむ方々がおられるならば展示を取りやめた方がよいという結論に至った。撤去後でも市民の皆様と対話したいと思っており、調整している」とコメントした。(古源盛一、丸山ひかり)