国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルがまとめた中間報告書の内容が、ロシアの干渉によって修正されたとされる問題で、ポンペオ米国務長官は14日の記者会見で、「ロシアは文言の修正によって国連安保理決議の効力を弱めようとしている」と述べ、ロシアを批判した。中間報告書は、石油精製品の密輸などでロシア船の関与を指摘していた。
北朝鮮が続ける密輸、巧妙化 報告書に浮かぶ新たな手口
修正「ロシアが干渉」 米国連大使が批判 北朝鮮報告書
ポンペオ氏は「専門家パネルが、当初のオリジナルの文書を公表することを期待している。そこには、(北朝鮮の)制裁違反の行動がはっきりと示されている」と語った。そのうえで、「米国は国連安保理決議(に基づく制裁)が順守され続けるように努力する」と述べ、北朝鮮の非核化を実現するため、国際社会が北朝鮮に対する制裁を維持する重要性を訴えた。
中間報告書が修正されたとされる問題は、米国のヘイリー国連大使が13日、声明を発表してロシアを批判。朝日新聞が入手した「修正」前の報告書によると、北朝鮮が1月~5月末、海上で船を横付けして石油精製品を積み替えて密輸する「瀬取り」を少なくとも89回繰り返し、北朝鮮は年間の輸入上限を超えた可能性が高いとの分析が記されていた。
米国がパネルに提供した情報に基づいており、ロシアは分析の根拠などを疑問視。「修正」前の報告書には、中国・上海沖でロシア船籍の船がベリーズ船籍(当時)の船に横付けして石油精製品を積み替え、北朝鮮に運ばれた瀬取りの状況が写真付きで指摘されており、ロシアが反発した可能性がある。(ワシントン=園田耕司)