英国の欧州連合(EU)からの離脱交渉は、17日のEU首脳会議でも具体的な進展はなかった。英・EU間の貿易の特別な取り扱いなどの合意がないまま、英国が来年3月に離脱する事態に備え、英国に製造拠点を置く日系メーカーは対応を急いでいる。生産停止や負担増を迫られるおそれもあり、先行きへの警戒感が広がっている。
EU域内の貿易は無関税。多くの規制が統一され、輸出入手続きも簡素化されている。英国とEUは、英国のEU離脱後も2020年末まで「移行措置」としてこの関係を続ける方針で一致しているが、離脱方法などを定める協定で合意できなければ、移行措置も白紙になる。そうなれば、英国の離脱後に関税が復活し、国境で部品の税関検査が必要になる。日系メーカーは、EU加盟国からの部品供給が滞ることを懸念している。
トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの英国内の工場は、効率的な運営のため部品の在庫を最小限に抑えている。4時間分の在庫しか持たないトヨタの工場は、EUから調達する部品の税関検査が滞れば生産停止に追い込まれるおそれがある。トヨタ幹部は「工場を止めざるを得なければそうする。注視したい」と話す。
出荷手続きにも影響が出る。現…