日本銀行前総裁の白川方明(まさあき)氏が22日、日本記者クラブで会見し、「過去5年の経験が示すように、日本経済が直面する問題の答えは金融政策にはないことは明らかだ」と述べた。白川氏が2013年3月の総裁退任後、会見で金融政策を語るのは初。安倍政権が黒田東彦(はるひこ)・現総裁と5年以上続けるアベノミクスや異次元緩和への直接的な批判はなかったが、金融緩和の副作用を指摘し、人口減と高齢化が低成長の背景にあると主張した。
白川氏は会見で、「物価が上がらないことが低成長の原因ではない」と持論を展開。日本の00~10年の実質国内総生産(GDP)の成長率は先進国で下位だが、働き手(15歳以上)1人当たりGDPの成長率ではトップクラスだとして、「根本問題は急速な高齢化と人口減少だ」と訴えた。
金融緩和の最大の副作用については、痛みを伴う社会保障費のカットなどから国民の目を背けさせ、「日本全体のエネルギーが、本来向かうべきところでないところに向かったことだ」と指摘した。
日銀は13年4月に黒田総裁が…