「EU(欧州連合)のもろさの表れだ」――。フランスのマクロン大統領はいま、危機感を強めている。英国の離脱がEU首脳会議で承認され、EU史上初めて加盟国の離脱が正式に承認された。もちろん、英国内の混乱でその離脱もうまく行くかは分からない。だが欧州ではEU懐疑論が勢いづき、「次の英国」が生まれかねない状況だ。マクロン氏の目線は、来春の大きな選挙にある。
英・EU、離脱条件で正式合意 焦点は英議会の承認に
英のEU離脱、無秩序なら「リーマン以上の景気後退も」
マクロン氏は27日、国民向けの演説で、英国のEU離脱に触れた。
「一生懸命働いているのに生活の見通しさえ立たない人々が、『自分たちのために世界が作られていない』と語ったのは正しかった」「だから彼ら(英国民)は民主的に(離脱を)選んだのだ。これが我々が直面している課題だ」
マクロン氏が英国の選択に理解を示したようにも映る。だが、実際には、フランスを含めた他の欧州諸国に同じ現象が起きているとみている。だからこそ、この雪崩を阻止しなければならない、との強い危機意識の表れだ。
英国の離脱協定がEU首脳会議で合意された25日もマクロン氏はこう語った。
「こんなに大きなパートナーの…