欧州連合(EU)で地球温暖化問題への注目度が高まっている。20日のEU首脳会議でも温暖化対策目標が主要議題の一つになった。
首脳会議で議論されたのは温室効果ガスの排出量削減。温室効果ガスを吸収する木を植えるなどの対策も含め、差し引き実質ゼロを2050年に達成する目標に合意できるかがポイントだ。これは15年の「パリ協定」の「今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」という規定をさらに野心的にしたものだ。
米トランプ政権は「米国にとって不公平」として17年、パリ協定離脱を表明した。新目標の設定には逆風下にある温暖化対策の推進力を保つ狙いがある。
新目標は当初、複数の国が産業への悪影響などを懸念していたが、今回はドイツが賛成に回りそうになったことで合意の機運が高まった。だが、フランス政府関係者によるとポーランドやハンガリーが反対し、賛成は24カ国にとどまった。ポーランドなどは、環境に優しいエネルギーへの転換にかかる費用の増加などに懸念を示したという。地元メディアによると会議前、石炭火力に依存するポーランドの外務副大臣は「各国の事情を考慮すべきだ」と指摘していた。
EUが環境対策に力を入れる背景には、欧州で起きている環境ブームもある。昨夏、スウェーデンの高校生グレタ・トゥンベリさんが始めた温暖化対策のデモが各国に拡散。高校生を中心に毎週デモが繰り広げられた。
世論に押される格好で、ドイツのメルケル首相は5月、「50年、実質ゼロ」に向けた議論を始めると表明した。ただ、自国の自動車産業にも配慮。「経済的にも実現可能な包括策」を9月中に示す考えを示した。
5月末の欧州議会選(定数75…