フランス政府は5日、全土で抗議デモが広がるきっかけとなった燃料税引き上げ方針について、来年中は実施を諦める方針を決めた。ドリュジ環境相が同日夜、出演したテレビ番組で明らかにした。
燃料税をめぐっては、フィリップ首相が4日、来年1月に予定していた引き上げを6カ月間凍結する方針を表明したばかり。だが「凍結では不十分」との反発が強く、各地で路上封鎖などの抗議行動が続いていた。
グリボー報道官は5日の記者会見で、政府が近く国民と対話の機会を持ち、「それでも解決策が見つからなかった場合は、燃料税引き上げを諦める」と断念に言及。さらに、ドリュジ環境相が同日夜の番組で、「先ほどマクロン大統領と電話した。来年は引き上げない。近く大統領も国民に説明するだろう」と明らかにした。
8日にも4回目の大規模な反政府デモが呼びかけられており、政府側が妥協を重ねて沈静化をめざしている形だ。(パリ=疋田多揚)