英国の最大野党・労働党のコービン党首がメイ首相を「馬鹿な女」と呼んだか――。欧州連合(EU)からの離脱まで100日となった19日、離脱協定案を審議する英議会はこんな論争に終始した。
離脱協定案をめぐり、議会での採決を1月中旬に先送りしたメイ氏をコービン氏が批判したのに対し、メイ氏は、否決を恐れて法的拘束力のある政権不信任案の提出に踏み切れないコービン氏を逆に攻撃。「やるのかと思ったらやらない。後ろを見てご覧なさい、議員も国民もついてこない」と挑発した。
そのとき、着席したまま聞いていたコービン氏は何かをつぶやいた。口の動きが「stupid woman(馬鹿な女)」と言っているようだとの指摘が英メディアやソーシャルメディアで広がり、与党・保守党議員からも英国史上2人目の女性首相への侮辱だとして、謝罪を求める声が上がった。
コービン氏は「国家の危機に関する議論を茶番劇にしてしまう人たちを『stupid people(馬鹿な人々)』と言った」とし、首相個人に向けた発言ではないと釈明した。
今年は、英国で女性参政権が認められ、初の女性国会議員が選出されてから100周年となる。メイ氏は英BBCに「女性たちは議員になることを奨励されるべきで、議会で浴びせられるかもしれない言葉を心配して議員になる意欲をそがれるべきではない」と語った。(ロンドン=下司佳代子)