千葉大医学部付属病院(千葉市)で形成外科手術を受けた埼玉県の男性(26)と両親が、術後の処置のミスで重い障害を負ったとして千葉大に約3億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、東京地裁であった。佐藤哲治裁判長は看護師の注意義務違反を認め、約1億5千万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は2012年8月、上あごと下あごのズレを矯正する手術を受けた。この際、気管を切開して呼吸用チューブを取り付けられたが、手術の4日後、チューブにたんが詰まって窒息状態になった。異変に気づいた女性看護師2人が5分ほど吸引したが改善せず、低酸素脳症による意識障害になった。
判決は、看護師が呼吸の回数や脈拍を確認する義務があったにもかかわらず、男性の様子を十分に把握していなかったと指摘。医師を呼ばずに吸引を続けたのも不適切で、「早く処置をしていれば障害は生じなかった」と認定した。
男性は今も植物状態で、会見した父親(55)は「病院は判決を重く受け止め、息子の治療に真剣に取り組んでほしい」と話した。病院は「判決を確認できていないのでコメントは控える」とした。(北沢拓也)