脳死して肺を提供した男児(当時1)の移植手術の様子を事前に説明なくテレビ番組で放送されたとして、男児の両親が18日、放送したTBSと手術をした岡山大学病院、日本臓器移植ネットワークなどを相手取り、計1800万円の損害賠償を求める訴えを広島地裁に起こした。
訴状によると、2017年7月に全国放送された番組で男児の肺が画像処理されずにそのまま映っていたほか、移植医が配慮のない発言をしたことで、番組を見た男児の両親は精神的苦痛を受けたとしている。
男児の名前などのドナーだと直接わかる情報は含まれていなかったが、手術した日などから知人に知られてプライバシーを侵害されたと訴えている。また、移植ネットは無配慮な取材や報道によって臓器の提供者や移植患者に損害を与えないよう注意する義務があったとした。
両親は代理人弁護士を通じて「私たち家族の思いを真剣に受け止め、理解して、誠実に対応してほしい」とコメントした。
TBSは「訴状を受け取り次第、内容を精査して対応を検討する」、岡山大学病院は「当院で実施した肺移植手術に関し、ドナーのご家族にご心痛を与える結果となったことは誠に遺憾。訴状については内容を精査し、適切に対応する」、移植ネットは「具体的な内容がわからないためコメントは差し控える」としている。
国が定めた臓器移植法の運用指針では、移植医療の関係者は臓器提供者と移植手術を受けた側の個人情報が互いに伝わらないように注意を払うよう求めている。(姫野直行)