若年で発症することが多い「1型糖尿病」の患者9人が、症状の改善が見られないのに、障害基礎年金の支給を打ち切られたのは違法として、国に年金の支給再開を求めた訴訟の判決が11日、大阪地裁であった。三輪方大裁判長は国の処分は違法として取り消した。
訴えていたのは大阪府、奈良県、福島県在住の27~50歳の男女。いずれも未成年の時に1型糖尿病を発症し、障害基礎年金を申請して「日常生活に著しい制限を受ける」状態である障害等級2級と認定。それぞれ年間約77万~100万円を受給していた。
だが国側は2009年に1人、16年に8人について障害等級が3級に下がったとして支給を停止した。患者らは「一部の原告は重い低血糖の発作で意識障害や昏睡(こんすい)状態になっており、症状は改善されていない。偏見で就労も難しく、年金を打ち切られた影響は大きい」と訴えていた。
一方の国側は処分は適法として請求棄却を求めていた。
1型は加齢や生活習慣などが原因の2型とは異なり、膵臓(すいぞう)のインスリン分泌機能が失われることで発症する。(大貫聡子)