英国の欧州連合(EU)からの離脱をめぐり、英議会下院(定数650)は29日、一度否決した協定案について、「一部を変更すれば協定案を支持する」という議会の意思を示す超党派の提案を、賛成317、反対301の賛成多数で可決した。メイ首相は「議会の支持が得られる見通しがついた」として、EUとの再交渉に意欲を示すが、EU側は再交渉を即座に否定。事態の打開は見通せないままだ。
修正案はメイ氏が掲げる離脱方針に対するもので、与党・保守党のリーダー格のブレイディー議員らが提出した。英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドとの間で、貿易ルールが別々になって国境検査が必要になるのを避けるため、英国とEUが合意した現在の協定案には、英国全体がEUの貿易ルールに従うという「非常措置」の規定がある。他に解決策がない場合の最後の手段とされるが、保守党内の強硬離脱派の反発が強い。修正案は、英国がEUルールに従わなくても国境検査を設けずに済むようにする、非常措置の「代替策」を政府に要求し、「議会は、協定案の変更を条件に協定案を支持する意思がある」とする。
採決結果に法的拘束力はないが、現在の協定案を一部変えれば、英議会で過半数の支持を得られる可能性を示したことにはなる。現協定案にこだわり続けるメイ氏は、EU側を再交渉に応じさせる説得材料にして、2月13日までに修正を終えたい考えだ。だが、修正案が求める代替策を見つけるのは難しいとみられる。EU首脳会議のトゥスク議長の報道官も即座に「再交渉はしない」と否定する声明を出した。メイ氏自身も「EU側にその気は無く、交渉は簡単にいかないだろう」と認める通り、見通しは厳しいまま。3月末の離脱予定日は近づいており、「合意なき離脱」の可能性も消えぬままだ。
また、別の超党派が提出した「…