今年もスギ花粉が飛ぶ季節がやってきた。花粉症対策として、スギ花粉を飛ばさない研究が東京農業大学や森林総合研究所で進んでいる。油由来の成分や微生物で雄花を枯らす方法だ。スギ林伐採や植え替えに比べて人手や費用、時間がかからない。
東京農大の小塩海平教授が民間企業と共同開発したのは、天然油脂に由来する花粉飛散防止剤だ。夏から初秋にスギの若い雄花に吹きかけると雄花だけが枯れ、翌春に飛ぶ花粉が9割も減らせた。
小塩教授は25年以上前から、試行錯誤を重ねてきた。粘り気ある液体で花粉を固めようと、松ヤニや海藻のヌルヌル成分「アルギン酸」などに、雄花を漬け込んだ。花粉は固まらなかったが、サラダ油に漬けた雄花が枯れた。微量のサラダ油を混ぜた溶液をヘリコプターでスギ林にまく実験で効果を確認した。
最終的に、天然油脂由来の界面…