2016年4月の熊本地震では、熊本県阿蘇市内のあちこちで土地が陥没した。道路は寸断され、家も傾いた。陥没の一部は深さ約2メートルに達し、大規模な場所では幅30~40メートルほど帯状に落ち込んだ。その原因がわかってきた。
「いきなりドーンという音がして突き上げられ、ドーンと下がった。体が一瞬ベッドから離れて落ちた」
阿蘇市狩尾の永富久義さん(70)は、4月16日未明の熊本地震の「本震」直後、玄関を開けて懐中電灯で外を照らした。足元にあるはずの庭の芝生が胸の高さにあった。自宅は、帯状の陥没の中にまるごと落ち込んでいた。
陥没や亀裂は、過去の巨大噴火でできた阿蘇カルデラ(南北25キロ、東西18キロ)の北側を指す「阿蘇谷」の広い範囲で、数多く出現していた。最近の調査で、カルデラ内の土地特有の被害だと明らかになってきた。
いったい何が起きたのか。
東京電機大の安田進名誉教授(…