3月末に予定される英国の欧州連合(EU)からの離脱をめぐり、英議会下院(定数650)は14日、協定案を修正するためEUと協議を続けるというメイ首相の方針について採決を行い、賛成258、反対303の反対多数で否決した。身内の与党・保守党からも棄権が相次ぎ、メイ氏の求心力のなさが改めて浮き彫りになった。
採決の結果に法的な拘束力はない。メイ氏は引き続き、月内に協定案の修正をまとめることをめざし、EUとの協議を継続する見通しだ。ただ、メイ氏が国内をまとめられない実態が露呈したことで、EUから譲歩を引き出すのはさらに難しくなりそうだ。
この日は、メイ政権がEUとの協議を継続することのほか、「合意なき離脱」を選択肢から排除することの是非が一つの採決で併せて問われた。
保守党の強硬離脱派にとって、「合意なき離脱」は市民社会の混乱が予想されるものの、EUときっぱり決別できる点では望ましい選択肢だ。このため、この日の採決では棄権に回り、結果的に身内であるメイ氏の協議継続の方針も支持しない形となった。
最大野党の労働党は「合意なき離脱」を選択肢から排除し、秩序だった離脱へ手続きを加速するよう政府に求めており、採決では反対票を投じた。(ロンドン=下司佳代子)