米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設工事で、国と地方自治体の行政上の争いを審査する総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」は18日、沖縄県が国の違法性を問うた申し出を却下した。埋め立ての是非を問う県民投票が告示された中での決定。県は決定を不服として、福岡高裁那覇支部へ提訴する方針だ。
本土との溝、基地問題の行方は…沖縄はいま
沖縄県は辺野古への埋め立て承認を撤回したが、安倍内閣の一員である石井啓一国土交通相がその効力停止を認めたのは地位の乱用で違法として、昨年11月に審査を申し出た。係争委は翌月から審議を開始。この日まで4回協議し、県の申し立てが地方自治法で定めた審査対象にあたるかを議論した。
委員会後、総務省で会見した富越和厚委員長(元東京高裁長官)によると、係争委は「(国の判断が)適法か違法かは触れるものではない」として、国交相の判断については踏み込まなかった。そのうえで、今回の県の申し出は係争委の「審査対象に当たらない」として却下した。
国交相による埋め立て承認撤回の効力停止は続き、政府は工事を続行する。沖縄県の玉城デニー知事は「誠に残念。今後の対応は決定通知書を精査したうえで正式に決定したい」とのコメントを出した。
辺野古移設をめぐり、沖縄県知事の係争委への申し出が却下されるのは2015年に続き2回目。