(2日、サッカーJ1・神戸1―0鳥栖)
幸運なゴールが必然に見えるのも、スペイン代表最多得点を誇る神戸のFWビジャの真骨頂なのかもしれない。
後半9分、自陣から味方が大きく蹴り出した球を追って相手選手2人と競走に。一度はクリアされた球が、もう1人の相手に当たって転がり込んできた。GKと1対1。動きを見極めてゴール左へ流し込む。日本での初得点は、チームに今季初勝利を呼びこんだ。
「チームが勝てればいい。数多くチャンスがある中、その一つが決まった」。37歳の余裕か。まるで人ごとのよう。ただプレーは老練だった。
クリアされた後も球から目を離さず、次の局面に備えていた。だからすぐにシュート体勢に入れた。さらに言えば、その前段。ロングボールを蹴ったMF山口が「動き出しがいいのでオフサイドにならない」と驚いた。絶えず相手DFと駆け引きしながら、飛び出すタイミングをはかっていた。だからあのチャンスが生まれたのだ。
スペイン代表として制した08年欧州選手権、10年ワールドカップ南アフリカ大会でいずれも得点王に輝いた。豪快なストライカーを想像するが、身長174センチ、体重68キロと体格はきゃしゃで、プレーは繊細だ。いつの間にかするりと抜け出してフリーで球をもらう。シュートのフォームも振り幅が小さいからタイミングが読めない。
ただ本人は「チームが勝ったことがうれしい。(ゴールだけでなく)チャンスも作る」と淡々と語った。まさに仕事人だ。(有田憲一)
リージョ監督(神) 「きょう…