(10日、サッカーJ1 FC東京2―0鳥栖)
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「戦術は久保建英(たけふさ)」と言いたくなるくらい、FC東京は、17歳の久保建を中心に回り始めている。小学4年生でバルセロナ(スペイン)の下部組織に入団し、復帰がうわさされる逸材。10日に東京・味の素スタジアムであった鳥栖戦では、久保建を生かす布陣に変更したことが2―0の勝利につながった。
1―0で迎えた後半の追加時間。敵陣左深くにドリブルで侵入した久保建は、得意の左足でDFとGKの間に速い球を転がした。マークを外したゴール奥のFWジャエルにピタリと合わせ、来日初得点を導いた。
バルセロナ仕込みの技術や判断力を発揮したアシストだった。好プレーが出た布石となったのが、久保建のポジション変更だ。後半36分の選手交代を機に、MFの配置を換えて、右から中央へ変えていた。この時間帯、攻撃が手詰まりになっており、長谷川監督が選んだ打開策が、久保建をよりゴールに近い位置でプレーさせることだった。
この采配が当たった。久保建のパスやドリブルが、鳥栖の守備を乱れさせていく。43分、サイド攻撃から、相手のオウンゴールを誘った。「久保が自由に動けるようになって、相手を崩せるようになったので、得点につながった」。長谷川監督もしてやったりだ。
J1では初のフル出場。試合後、大勢の報道陣に囲まれ、今季初のアシストについて問われると、久保建はいつも通り、淡々と語った。「これでプレッシャーもなく、次の試合も伸び伸びとプレーできればいいんじゃないですかね」。一方で、ゴールを導いてもらったジャエルは、冗談めかして絶賛した。「素晴らしいアシストだった。彼なら(シーズンで)30点ぐらいアシストできると思うので、そのうち15点ぐらいは自分にして欲しい」(勝見壮史)