オランダ中部ユトレヒトの路面電車内で18日午前(日本時間同日夜)、何者かが銃を発砲した。地元警察によると、発砲で3人が死亡、5人がけがをした。オランダ当局は、テロの可能性も含めて捜査をしている。
ユトレヒト警察によると、午前10時45分ごろ通報があった。警察はトルコ出身のグッグメン・ターニス容疑者(37)が事件に関わったとして写真を公開し、行方を追っている。
オランダ国営放送は撃たれた人の証言として「犯人が『アラー・アクバル(神は偉大なり)』と叫んでいた」と伝えている。容疑者は車で逃走。乗り捨てられた車を調べたところ、盗難車だったという。
テロ対策当局は、ユトレヒト市内のテロ警戒レベルを初めて最高の「5」に引き上げた。警察は一時、ユトレヒト市民に屋内にとどまるよう求めた。
現場は、ユトレヒト中央駅から1・5キロほど離れた住宅街。集合住宅が並び、移民も多く住んでいる。18日夕、現場は多数の警察官によって封鎖され、救急車が複数止まっていた。
モロッコから12年前にユトレヒトに移ってきた現場近くの女性(32)は「ひどい事件。とても安全な場所で、こんな危険を感じたことはない」と話した。
ユトレヒトはオランダ第4の都市。首都アムステルダムの約30キロ南に位置し、絵本「ミッフィー」の作者ディック・ブルーナさんが生まれた場所として知られ、観光客も多く訪れる。(ユトレヒト=津阪直樹)