日本銀行は19日、金融機関の経営状況を定期的に調べる考査で、2019年度はリーマン・ショック並みに景気が悪化した場合などの影響を試算する方針だと発表した。大規模な金融緩和による超低金利で銀行収益は悪化しており、経営側に対応を促す狙いもある。金融当局が経済危機などを想定して金融機関をチェックする手法は「ストレステスト」と呼ばれる。
19年度の考査で行い、対象の金融機関に結果も示す。金融機関ごとに想定は異なり、景気悪化による取引先の倒産増や、保有株下落などの前提を置いて試算する。地域によっては、主要な地場産業が衰退した場合の影響を見積もることなども考えられるという。
金融機関の事業は融資業務に偏っているため、不採算の取引先でも融資を続け、取引先の経営悪化のリスクが金融機関に及びやすい状況が懸念されている。日銀は「信用コストが増加に転じつつあることも踏まえ」(金融機構局)て、貸付金の回収見通しなどを点検していく。(湯地正裕)