欧州連合(EU)のトゥスク首脳会議常任議長(大統領に相当)は20日、英国のEU離脱時期の延期について、離脱の条件を定めた協定案が29日までに英議会で可決されることを条件にする考えを示した。英側にとっては極めて厳しい条件で、延期が認められるかは極めて不透明だ。
メイ英首相から申し入れがあった離脱時期の3カ月延期について、会見を開いた。トゥスク氏は「短期間の延長は可能だと思うが、来週の英下院での可決が条件になるだろう」との認識を示した。そのうえで、「この希望は幻想にさえ思えるかもしれないが、最後の瞬間まであきらめない」と話した。
EUは21日に開く首脳会議で、延期の是非について議論する。トゥスク氏は「(英を除く27カ国の)首脳が私の考えを受けいれ、英議会で可決されれば、書面手続きで決定することができる」とも指摘。EU内で検討されている臨時首脳会議も不要であるとの見方も示した。
英国のメイ首相はトゥスク氏の会見に先立ち、29日の離脱予定日を6月30日まで延ばすようEU側に要求した。野党に対し、「できるだけ早くスムーズに協定案を可決するよう求める」としているが、協定案をいつまでに可決するかは明言していない。(ブリュッセル=津阪直樹)