(28日、選抜高校野球 市和歌山6―2高松商)
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夢見ていた甲子園での本塁打は初回に飛び出した。
2死走者なしの場面で打席に立った市和歌山の3番打者緒方隆之介君(3年)。「チャンスをつくろう」という気持ちだったが、4球目、高めの直球を捉えると、打球はぐんぐん伸びて左中間スタンドへ。表情を変えずにダイヤモンドを回る。帽子のつばに書かれた「最高の仲間達と最高の笑顔で」の言葉通り、ベンチで仲間に迎えられると表情が緩んだ。
小中高と野球をしていた父・要輔さん(44)と小さい頃からキャッチボールやティー打撃をして遊び、小3からチームに所属して野球にのめり込んだ。自宅では父が手作りした練習場で打撃練習を積んだ。「甲子園で本塁打を打ちたい」と努力し続け、市和歌山では長打も期待される中軸打者に成長。選抜大会が始まる前には要輔さんに「ホームランを打ってくる」と宣言していた。
23日の初戦では打点を記録するも安打は短打1本のみ。自分の打撃が出来ず「いい表情はしていなかった」と南方拓磨打撃コーチ(26)。2戦目を迎えるまでの4日間、練習が終わった後には宿舎近くの公園で2~3時間黙々と素振りを続けていたという。初戦後に「タイムリー1本しか打てなかった。次は頑張る」とLINEをもらっていた要輔さんは「宣言の通りに打ってくれてうれしい」とほほえむ。
「自分たちの野球をすればどんな相手にも勝てる」。緒方君は次戦に向けまた闘志を燃やした。(成田愛恵、大森浩志郎)